沖縄県には特殊な投資商品があります。
購入すると地料がもらえ、貸し倒れがなく利回り約2%前後で運用され、価値は毎年上昇しています。
また評価額が低く、税金も安い。よって相続対策にも利用されます。
それは軍用地と呼ばれ、主に米軍基地や自衛隊施設として収用されている土地です。
日本に所在する米軍専用施設面積の70%以上が沖縄に集中しています。
那覇空港より沖縄の大動脈・国道58号線を北上すると、左手に日本と米国を隔てるフェンスが現れます。
それが「極東一の総合補給基地」キャンプ・キンザーです。
しばらく車を走らせると、右手に「極東最大の米空軍基地」嘉手納飛行場が見えてきます。
もう少し行けばキャンプ・ハンセンやキャンプ・シュワブ、最北端の基地は北部訓練場と、
いくつか名称を挙げましたが、この他にもかなりの数の米軍専用施設があります。
実は約40弱の施設から構成され、加えて陸・海・空の自衛隊施設もあり、そのすべてに倍率が定められています。
この倍率は、その時の市況によって変化する指数です。
例えば先ほどのキャンプ・キンザーは58~63倍、嘉手納飛行場は54~60倍で売買されています。
また、同じ施設でもその中で地目や立地に基づき細かく倍率が分類されています。
一般的には重要施設ほど高い倍率が示されています。以下は一例ですが、
キャンプ・キンザー:58~63倍±
嘉手納飛行場:54~60倍±
嘉手納弾薬庫:47~55倍±
普天間飛行場:44~50倍±
キャンプ瑞慶覧:44~50倍±
キャンプ・ハンセン:49~52倍±
(当社調べ、2023年2月現在)
ではこの倍率が何を意味するかと言いますと、この場所の価値を表しており、
年間地料100万円の嘉手納飛行場だと100万×54倍=5,400万円となります。
■軍用地の価格計算式:年間地料×倍率=売買価格
まだ軍用地投資が人気を博す前の2012年、嘉手納飛行場は35倍で取引されていました。
これが2017年は50倍となり、今では54~60倍で取引されるようになりました。
軍用地は戦後一貫して上昇しており、下落したことはありません。
毎年平均すると1.0%前後上がっており、10年に1度の賃貸借契約の更新翌年となった2013年は3.5%上昇しました。
また、税金面ではもともと固定資産税評価額が低いうえに、公有地であることから
地上権で存続期間の定めのないものの割合を40%軽減できる、つまり現金を軍用地に転換すれば
相続税評価額は四分の一まで減額できることになります。
現在は軍用地の固定資産税評価額の上昇に伴い圧縮率は低下していますが、それでもなお優位性があります。
アパートなどの収益不動産投資のように管理する必要も、空室リスクを考える必要もない軍用地ですが、
リスクとしてあげると返還されることが考えられます。もちろん返還されると地料は入ってきませんが、
那覇市おもろまち(那覇新都心)のようにきちんと区画整理され商業都市として生まれ変わり価値が上昇
するわけですから、一概に返還されることがリスクとは言い切れない部分があります。
実際に、軍用地は周辺相場よりも土地の価格が安いことから、戦略的に返還予定地を購入している投資家の方もいます。
軍用地を所有するということは複利で確実に上昇する担保付国債の債権者という表現が適当かは意見が分かれそうですが、
価値と節税という側面から勘案した場合、有望な投資商品と言えるのではないでしょうか?